気まぐれ日記

更新は本当に気まぐれです。主にtwitterに書くには長いなと思ったネタを書きます。

ある王国の物語

むか〜し、むかし、あるところに、長引く不況と

積み重なる王国の借金に苦しむ国がありました。

 

王宮では、経済運営を巡り、大臣達が二つの派閥に分かれて争っていました。

一つの派閥は、

「積み重なる王国の借金はもう限界です。

まずは借金の返済をしなければ、王国は破産してしまいます。

まずは、財政再建を。それから景気を回復させましょう。」

と言います。

 

一方、もう一つの派閥は、

「民の暮らしは長引く不況で荒んでおります。

まず、景気を回復しなければ、王国はめちゃくちゃになってしまいます。

まずは景気回復を。それから財政再建をしましょう。」

と言います。

 

対立する意見に王様は困ってしまっていました。

 

 

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ある日、旅の老学者が王宮に現れ、言いました。

「王様、まずは景気回復を。それから財政再建をすべきです。

私に景気回復の秘策があります。

その名も、インフレターゲット!!

なんとこの政策では、街にある金貨の量を徐々に増やすことで、

金貨の相対的な価値を徐々に減らすのです。

この不況で、人々は弱気になっています。

そして、何かがあった時に頼れる金貨を手元に置いておきたがっています。

お分かりの通り、これでは、景気は良くなりません。

そこで、あらかじ金貨が増えることを民に知らしめることです。

すると、手元に置いていた金貨は徐々に価値が下がります。

価値が下がると分かっていれば、今のうちに使った方が得ですから

みんな金貨を使い景気が回復するって寸法です。

ただこれには、ちょっとばかり時間がかかります。

全体で何年というスパンで見てもらえれば見事に景気回復です。

どうです!すごいでしょ。ポイントは、人々の予想を・・・。」

 

王様は、内心、思いました。

(話の小難しくて長い奴だな。

 良く分からんが自信があるようだ。

 面構えをみても、出来る漢とみた。

 まあ、それならば、そちに任せよう。

 ・・・まあ、それに失敗しても、

 旅の老学者のしたこととできるしなww)

 

そして、

「良きに計らえ。」

と一言。

鶴の一声に長く長く続く論争は終止符を打ちました。

 

景気回復優先の派閥は大喜びです。

そして、財政再建派は意気消沈しました。

 

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さて、その後、この国の経済と言いますと、

旅の老学者の言う通りにことは進みます。

 

まず、商人や職人の親方が金貨を使いだし、

徐々に、奉公人の給料も上がり始めました。

始めは旅の老学者を疑っていた人々も徐々に認めだしていました。

 

とは言え、旅の老学者も魔法使いではありません。

時を早く進めることは出来ず、景気回復は、徐々に徐々に進むのでした。

 

そんなおり、国の租税を決める

数年に一度の会議が王宮で開かれました。

 

景気は回復の兆しを見せてきました。

ここで税を上げて財政再建を始めるのか。

 

もう少し税を上げるのを待って、景気回復を進めるのか。

王宮では再び2つの派閥の対立が生まれていました。

王国は、王宮の会議の行方の話題で 持ち切りです。

 

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さて、会議の日がきました。

 

旅の老学者は、自信満々に言います。

「予定通り、景気が回復の兆しを見せています。

 予定通り、税の回復を見送れば、景気回復は軌道にのり、

 財政再建もはかどることでしょう。

 今回は、増税はなしでいきましょう。」

 

財政回復派は、おそるおそる言います。

「景気は回復しています。

 その一方で、借金はどんどんとふくれあがっています。

 今こそ財政回復のときです。

 王国の破産をさけるには、増税はさけられません。」

 

ふむ、としばらく考えた王様。

「よし、増税じゃ。」

と鶴の一声。

 

驚いたのは、旅の老学者。

「王様、何故でしょう。

 私に任せていただき、景気は回復してきたのに、

 なぜ、この件についても私に任せてくれないのでしょうか。」

 

王様は、言います。

「前回はそちの顔を建てたじゃろうが。

 今回は、財政再建派の顔を立てる番じゃ。」

 

旅の老学者は言います。

「王様、それでは、筋が通りません。

 今、増税しては、景気回復してから財政再建にも、

 財政再建してから、景気回復にもならず

 どっちつかずになってしまいます。」

 

王様は言います。

「うむ、それこそわしの意図するところじゃ。

 対立する意見を調整することこそが王たるわしの勤め。

(どっちも言ってることはよく分からんしな。。。。)

 角を建てずに両者の意見を満遍なく聞くのが賢王というもの。

 いつもそちの意見が通ると思うでないわ。」

 

旅の老学者

「・・・ぐふっっ!(泣)。」