気まぐれ日記

更新は本当に気まぐれです。主にtwitterに書くには長いなと思ったネタを書きます。

最後の漫画展

金曜日、サントリー天保山ミュージアムに「井上雄彦:最後のマンガ展 重版大阪版」を見に行って来た。

ただ漫画を飾る訳でもなく、ただ絵を見せる訳でもなく。
空間を使ったとても挑戦的でな展示で、凄く面白かった。

ここからは少しだけネタばれ。

バガボンドの1エピソードという形をとった今回の展示。
テーマは漫画作品と同様に強さ。
無敗と言われた伝説の男のたどり着いた強さとは。

全体として、美術館という既存でない枠に納める、漫画の新しい可能性を追求したような展示だった。
出版媒体という枠が外れた時、新しい表現を目指した挑戦が始まったのだろう。

ストーリーのラストと並んで印象的だったのは中盤の一コマ
正確な言葉をそのままでは覚えてないけど、

言葉は尽くした。これで後に何が残るか。
伝わるものは相手次第、それで良い。

このようなつぶやきがあった。

ふと、これはきっと作者のつぶやきだなと感じた。

先行するヒット作はほぼなく、こけた作品ばかりで、バスケは漫画とは合わないと言われてた所から、バスケットボールブームを作り上げた「スラムダンク」に始まり、障害者スポーツ車いすバスケと向かい合った「リアル」、筆を多用した新しい画風で、強さにこだわる宮本武蔵の内面を描く物語として吉川英治の有名作をリメイクした「バガボンド

挑戦的な作品、特に純文学の様な、人の内面を重視した作品を描き続ける作者の、伝えるという作業に対する真摯なつぶやきであった気がする。

少しだけ、苦言を呈するなら、全体として、大きな絵を見る時の距離が少し近かったかも知れない。
もう少し広い場所でこの展示が出来たら。そんた場面が何度かあった。

最後の漫画展と題されたこの展示。
本当に最後になってしまうのだろうか。

もう一度、この人の挑戦する姿が見たい。
そう思わせる展示だった。