気まぐれ日記

更新は本当に気まぐれです。主にtwitterに書くには長いなと思ったネタを書きます。

捕鯨反対に思うこと

最近、よくニュースで捕鯨反対の運動がやっていますね。
これについて疑問に感じることを2つほど。

鯨の現在の頭数などのデータについては、反対派と賛成派の主張に差があるようですし、専門家でもない私には分からないので、まぁ不明としておきます。

その上で、疑問に思うことの一つ目はなぜ鯨なのか?実際に絶滅危惧という話ではもっと危ないのが一杯あるだろうと言う事です。

生物というのはみなそれぞれの生態系の中で多くは互いに依存しながら生活していますよね。
ですから、その生態系の存続する環境(例えば森とか浜辺とかね)が失われた時って言うのが、生物種がごっそりと失われる一番危ない時だと思う訳です。
例えば、身近な例で言えば、日本では人手が入り続けて、環境が乱され続けることで、極相(自然に放っておくと最後に行きつく状態・人里離れた山奥の自然の状態)になることなく維持されてきた里山空間が失われることで、そこに依存していた多くの生物種が絶滅の危機にあります。(ちなみに里山は極相状態より生物種が多いことが知られています)
熱帯雨林の減少とか、砂漠化だとか、そういう例は世界中、沢山あると思います。

また、生物絶滅の大きな要素って言うのは、商業的な圧力だと思います。
例えばマグロの漁獲量が減ったとか、イワシが減ったとかはいう話は聞いたことがあるのではないでしょうか。
また、過去を見てもトキが減少したのも羽毛を狙った商業的圧力が原因ですし、鯨も言うまでも無く油目当ての商業的圧力で絶滅危惧になりました。

で、ここで考えることは、現在の鯨にたいして、それほど強い商業的圧力が働いているのかという疑問です。
まず、食べた事がある人自体が減っていますよね。
ちなみに私は食べた事ありますけど、言うとけっこう珍しがられます。他の方はいかがでしょうか?
鯨油にいたっては私は見たことないですし、どっかで使ってるって話も聞いたことないです。

あれば、食べるかもしれないけど無くたって別に。。。
これが多くの日本人のスタンスに近いんじゃないでしょうか。
調査捕鯨の鯨が高値で売れてるなんて話は聞いたことないですしねぇ。

この状況で、あえて捕鯨への賛成・反対にこだわる理由ってなんなのでしょうか?
私にはよく需要が分からないのですが、将来的に捕鯨が解禁されたら乱獲される見込みがあるのでしょうか?
環境保護という観点から言えば、勿論、絶滅危惧なら保護すべきでしょうが、他の絶滅危惧種に較べて優先順位が高いようには見えないのですが。

ここで、よく聞くのが、鯨は知能が高いから食べるべきではないとか、あるいはホエールウォッチングなど、鯨への愛着を訴える主張です。

これを聞くとどうしても違和感を感じます。そういうあなたはベジタリアンなのですか?と。
知能が低い生き物を食べるのはなぜOKなの?愛着の無い生き物だから食べられるってことなの?ってことです。
おそらく私が無意識的に持っている仏教的な価値観、生きるものには等しく命がある的な考え方からくる違和感だと思うんだけど、命を食べるってそういうことじゃないでしょ?って感じるんですよね。

肉を食べて生きるって、他の命を奪うってことでしょ?
ならばそれに対してもっと謙虚でなくて良いのだろうかって感じます。
知能が高いものは食べないってことは、知能が低いから食べるってことですよね。
何だか、馬鹿にしてる気がします。

現代社会の食と殺生の分離の結果の一つでしょうか。
奪った命を平気で残す事が出来るという問題と同じ根があるのかもしれません。

そもそも、その考え方って典型的な人間中心主義ではないのでしょうか?
人間を中心に自然を都合よく改造しようとし、失敗した結果を環境問題と捉えるのが環境保護の思想の基本的なスタンスだと思うのですが、その環境保護を標榜する団体が人間中心主義で行動するっていうのはどうなのでしょうか?
いや、勿論、自分が人間な以上、私も人間中心主義を完全に否定するつもりはないですけど、どの動物が好き・嫌いみたいな感情論が出てくるような人間中心主義ってのは、まさしく環境を破壊してきた考え方だと思うんですよね。

また、感情論で話をするなら聞きたいのは、あなた方はヒンドゥー教徒に聖なる動物である牛を食べないで欲しいと言われた時にどう答えるのでしょうか?また、イスラム教徒から豚を食べないでと言われた時には?

もちろん、私も猫や犬を食べるかと聞かれると、ちょっと自分は遠慮したいなぁなんて思ったりもしますけど、食べたいって人に食うななんてことは言いません。

ベジタリアンでもない人間が、感情論から他人の食に文句を言うのはただのわがままだと思うのですが、どうなんでしょうか。

まぁ、同時になんでわざわざ世論が捕鯨に反対してるオーストラリアの近海で調査捕鯨するのかなぁなんて疑問もあるんですけどね。

まぁ、そんな話よりも、魚の消費国や需要が増えてる現状で、公海における各種水産資源の乱獲の問題の方がもっと深刻だと思うので、賛成派も反対派も鯨にこだわってないで、海洋生態系全体を考慮した水産資源全体の保全と利用に関する問題への議論がもっと必要なはずだと思うのですが。