燃えよ剣
夏の旅行中に読んだ本のレビュー。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/06/27
- メディア: Kindle版
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- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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司馬遼太郎さんの燃えよ剣。
幕末、新選組副長土方歳三を主人公としたストーリー。
竜馬がゆくと対をなす作品といった印象。
この本を読むと、司馬さんが幕末・維新という時代を描くにあたり、竜馬と土方という二人の主人公を選んだ理由が良く分かる。
誰よりも柔軟に思考し、当時の常識が変わる根幹を成した竜馬に対して、土方は、一介の喧嘩師、戦人として滅び行くのを承知で幕府と運命をともにした印象さえある。江戸時代までの武士の美しい生き方の鏡である。
そんな土方は勿論、農民出身。武士に憧れた人だから誰よりも武士として生きることが出来たのかもしれない。
この作品の魅力は、そんな古い価値観へと身を捧げた土方がただの頑固者でなく、哲学を貫いただけで、実は柔軟な思考の持ち主として描かれている点である。
その最たる例が、鳥羽伏見の戦いで剣が破れたときの、戦略の転換であろう。それまで剣に頼り剣で名を成した新選組であるのに、この敗戦で近代西洋兵器の時代が来てると察した土方は、直ぐに西洋式戦術の勉強を始め、西洋式の戦いでも優れた指揮官へと変貌する。
そんな柔軟性や先見性を持ちながら、幕府と運命を伴に、否、幕府が倒れた後も戦い続ける土方の行き方はとても美しい。
今でもファンが沢山いるわけである。新選組という部隊は実際は実務の責任者である土方を中心とした集団だったと言っても過言ではないだろう。
これを読めばきっと彼のファンになる。
そして竜馬がゆくと併せて読めば、司馬さんの描く魅力的な幕末が見えてくる。そんな一冊です。
機会があれば是非、読んでみてください。